『COOL』は、世界で活躍するアーティストやニューヨークで注目のアートシーンなどを紹介していくアートマガジンです。創造するということ、かっこいいものを見ること、そこから感じる何かを世界中で共感できたらおもしろい!文化が違うとこんな違ったかっこよさもあるんだ!そんな発見・感動をしてもらえるボーダレスなアートマガジンを目指しています。現在、全米各地やカナダ、フランス、日本、中国などで発売中。誌面ではなかなか伝えられないタイムリーな情報や、バックナンバーに掲載されたインタビューなどをこのブログで公開していきます。
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COOL:先ず始めに、現在手掛けているお仕事について教えてください。
TAKASHIRO:ええと、もうじきDVDが出ます。本業はコンピューター使って映像作る職種なんですけど、最近僕DJをやっていて、DJとして選曲してVJとして映像付けたDVDをリリースします。ユニバーサル・デフジャムから9月7日発売です。
C:先日“ageHa(新木場にあるクラブ <http://www.ageha.com/>)”でVJとしてイベントをされていましたけど、いかがでしたか?
T:もう、めちゃめちゃ盛り上がりました。(クラブ内にある)プール開きだったんですけど、プールパーティみたいな感じになって盛り上がっちゃって、人が入りきれなくって途中で入場規制をしていました。
C:DJを始めたのはどうしてですか?
T:去年の夏に僕は40歳になったんですけど、毎年新しいことを一個ずつやろうと思って、それで始めました。DJというとクラブでやるものだと思うんですけど、そうじゃなくてクラブでやらないDJを目指しています。いつも新しいメディアと新しい場所を探し続けることを考えているので。僕のホームグラウンドはお茶の間なので、お茶の間で楽しんでいただける、家で聴いて楽しんでもらえるようなDJになれたらいいですね。
C:VJは10代の頃からされていたそうですが、何に影響を受けていましたか?
T:僕は日大芸術学部だったんですけど、その頃から問題児だったんで、「大学の先生に教わることはない」とか言って、ニューヨークまで行って、ジムジャームッシュとかスパイクリーとか観てきました。僕にとって海外の影響は大きいですね。80年代のニューヨーク・インディペンデントの映像シーンとか、そういうサブカルシーンとか音楽シーンとかにすごく影響を受けていました。
当時、クラブと言うとパラダイスガレージが盛んだったんで、80年代後半は毎週のように行っていました。
C:ジムジャームッシュやスパイクリーって、今でもアナログを大事にしているような印象があるので、高城さんのデジタル的な印象とは逆のような気がするのですが・・・
T:彼らと同じことをしたら80年代で止まってしまうので、僕はそれを越えて行くというか、彼らのそういうスピリットに影響受けつつ、最先端のテクノロジーとメディアを駆使していきたいなと思っています。
C:毎日20時間くらい働いているそうですが・・・
T:働いているというより、どっちかっていうとクリエイティブなことをしているということですね。4時間半くらいの睡眠が丁度よいんです。
C:常に新しいことを取り入れて、更に新しいことをやっていっているのが高城さんだと思うのですが、情報収集をしたり、アイデアを練る時間はどうやって確保しているのですか?
T:まず僕は情報収集はしない。モニターはあるけどテレビはないです。チューナーをもっていないので。WEBもまず見ない。雑誌も読まない。情報ダイエットをしています(笑)。インターネットとかで得た情報は、行ったこと無いけど知ってるっていうのが多くて、そこで終わっちゃってるの。これを情報デブと言ってるんですけど(笑)、そういう情報収集をやめると痩せたり、ほんとの情報を得ようとする。行って、「あ、ほんとだ」って思う。正直、情報は今はもう捨てていく時代です。収集しない。本当に必要なモノだけを残すべきだと思います。インスピレーションは自分の中にあったり、行動することによってその場所でいろいろ感じたりするわけで。それでもう十分でしょ?
で、アイデアはどうしてるかっていうと、情報収集をしない代わりに自分と向き合う時間を大切にします。1日1時間半から2時間くらいは必ずそういう時間をとります。今日もずっとデニーズ(※)でメモしてたりして、こういうポストイットにメモしています。(ポケットからポストイットに書かれたメモが山のように!!)アイデアは常にここにいっぱい入っています。ポケットいっぱいのアイデアを一個一個実現していっているんです。
C:どうしてポストイットなんですか?
T:携帯電話で話しながらでも貼って書けるのでずれないし、ゴミみたいだけど色んな色だしキレイじゃん?ははは、すごいいいかげん(笑)。僕はあんまりオシャレ系なクリエーターとは違うんですよね。
C:ハイパーメディア・クリエーターという肩書きはどうやって生まれたのですか?
T:大学生の時なんですけど、当時から僕は映像、音楽、グラフィックデザイン、メディアプロモーションなどいろいろと横断的にやっていて、ある時大学に取材に来た新聞記者の人が、君は映画監督でもないし、テレビのディレクターでもないしっていって名前をつけてくれたんです。紙媒体も携帯電話もテレビもライブもいろいろやって、メディアを越えて横断的に自分の表現をしていくというのが僕なんで。
C:これはなんですか?(小さいモニタと基盤が合わさっている見慣れないものがディスクに・・・)
T:それ、今作っているんです。モニタが寝てて、それを起こすと始まるっていうメディア。本て、こうやって立てて読むでしょ?だから、モニタもそうやって見ることができないだろうか、と、ほんと実験的に作っているんです。独学でいろいろやってみているんだけどね。基本的には秋葉系(※)なんだよね僕(笑)。ニューヨークに行くとずっとキャナルストリートでパーツを見ています。5番街なんて行かないですよ。あ、たまには行きますよ、仕事もあるんでね(笑)。
今年は1月にニューヨークに行きました。ソーホーにあるベイシングエイプのドキュメンタリー映画をプロデュースしているので、その撮影に行きました。そのすぐ側にあるルイビトンもクライアントですしね。(ルイヴィトン×村上隆のアニメーションムービー”SUPERFLAT MONOGRAM”をプロデュース)
日本を代表する世界のブランドとして、ベイシングエイプは応援していますね。
C:世界各地飛び周ってあちこちで活躍されていますが、どこが一番好きですか?
T:東京。自分の街だからね。日本が好きなんで日本を楽しみます。
1週間前までギリシャとかヨーロッパを周っていたのですが、昨日は湘南でロケ班して、そのあと海の家で遊んでいました。そして今週末は北海道に行きます。
しばらく僕は沖縄のブランディング、観光キャンペーンを手掛けていたのですが、それがかなりうまくいったので今度は北海道を手掛けるかもね。
基本的にクリエーターとかアーティストって、「作る」「作って伝える」っていう2つのことをやっているんですよね。昔のクリエーターやアーティストって、ただ作ればよかったけど、今は、作ってどう伝えるかっていうことまで考えないとだめな時代じゃないですか?僕は「作る」「作って伝える」の他に「伝える」っていう仕事もやっているんです。モノがあってどう伝えるか。メディアのプロ、コミュニケーションのプロとして、コミュニケーションを手伝って欲しいという依頼がすごく多いです。簡単にいうとクリエイティブもコミュニケーションですから。沖縄を盛り上げたりとかっていうのは、完全に「伝える」っていう部分だけやっています。もう素材は沢山あるし良いわけじゃないですか?綺麗な海はあるし、おいしいものは沢山あるし、楽しいし。それをどう伝えていくかというのを仕事として依頼されます。
あんまり自分がこうアーティストだとかコマーシャルはやらないだとかいうのはなくて、来た仕事を順番にやるというスタイルです。スケジュールさえ合えばどんな小さな仕事でもやりますね。
C:ニューヨークと東京、比べてみて自分の反応だとか評価だとか違いは感じますか?
T:今はあんまりないんじゃないですかね。東京葛飾柴又(※)生まれで根っからの日本人だし、日本が大好きで日本中をぶらぶら旅行したりしているんで、日本で受けないとニューヨークでも世界でも受けないんじゃないかなぁって思います。80年代ってニューヨークがおもしろい時代だったと思うんですよ。音楽もアートもクラブも全部。で、80年代後半から90年代前半ってサンフランシスコがおもしろくて、90年代後半はアムステルダムがおもしろくて、今は東京がおもしろいと思います。日本のファッションブランドは世界のパリコレでもニューヨークのソーホーでも活躍してるし、中田英寿のポスターなんかも世界あちこちで見られるし、日本人は世界で頑張っていると思います。
C:子供の頃の夢はなんでしたか?
T:ええと、小学校低学年の時に、将来の夢は「鳥」って書いておこられました(笑)。「いいなぁ、鳥って。働かなくていいし」って思って(笑)。
C:では、今の将来の夢は?
T:先のコトはわからないですよね。2010年くらいまでもう仕事が入ってしまっているし。
サッカーの仕事も結構来ているんですが、僕は全くサッカーわからないんです。中田英寿と仲良しなんですけど、彼は全くのコンピューター音痴。彼は夏と冬と年に2回しか休みがないのですが、どちらも僕と旅行していましたよ(笑)。僕がロンドンにいて、彼はイタリアでしょ?合流して、ブルガリア、ラトビア、リトアニアなど一緒に周りました。お互いにお互いの仕事のことが分からないのがいいんじゃないですかね?(笑)まぁ、いろんなジャンルの仕事が来ますが、順番にやって行きます。僕スターウォーズがすごい好きなんですけど、ギリシャ神話とかもそうだけど、自分の人生を三部作に捉えていて、第一部は今まで生きてきた自分は仮の自分であって本当は違うことに気づく。第二部は自分が本当にやらなくてはいけない仕事に向かって全うして色んな人に会いながら旅を続ける。第三部は最後の仕事を全うして人生を成し遂げる。僕は今第二部の終わりくらいかな?まだ僕は旅の途中だねぇ。
C:今後の予定は?
T:8年振りの書き下ろし「デジタルは終わった次は何だ」っていう本を出します。デジタル系の仕事はもちろん沢山来るので、お前がそれ言っちゃうの?って言われそうですが(笑)。日本人に向けた新しいコンセプトみたいなのを書くので、是非読んで欲しいです。最近読んだ本なんですが、マークレナードっていう人の本が面白かったんですよ。この人はビジョナリストなんですけど、次世代のビジョンをつくる、次はこうなるっていうビジョンをつくる商売で、日本にはないものですよね。この人のビジョンはヨーロッパでもダントツにいいと思います。この人はイギリスのブレア政権とかイギリスの景気の基本を考えていたし、今度はイギリスだけじゃなくて、ヨーロッパ全土を考えていて、非常に良い本でした。これに負けないくらい、日本の新しいビジョンを僕は作りたいですね。僕、身体鍛えるのにもはまっていて、体脂肪率は今7%くらいなんです。ジムにひたすら通っています。身体鍛えるとモバイル力があがるっていうか、遠くまで行けるじゃん?
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高城剛
映像作家/ハイパーメディア・クリエーター/フューチャー・パイレーツ代表取締役/東映アニメーション特別顧問
東京葛飾柴又生まれ。日本大学芸術学部在学中に、日本最大のビデオアート・コンペティション「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。その後映像作家としてデビューし、デジタル時代の映像作家として全国的・世界的に注目を集めるようになる。近年では、全世界300店舗で上映されたルイヴィトン×村上隆のアニメーションムービー”SUPERFLAT MONOGRAM”をプロデュース。
ホームページ http://www.takashiro.com/
text, photo by Mieko SAI
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