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『COOL』は、世界で活躍するアーティストやニューヨークで注目のアートシーンなどを紹介していくアートマガジンです。創造するということ、かっこいいものを見ること、そこから感じる何かを世界中で共感できたらおもしろい!文化が違うとこんな違ったかっこよさもあるんだ!そんな発見・感動をしてもらえるボーダレスなアートマガジンを目指しています。現在、全米各地やカナダ、フランス、日本、中国などで発売中。誌面ではなかなか伝えられないタイムリーな情報や、バックナンバーに掲載されたインタビューなどをこのブログで公開していきます。
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今年もニューヨークの街を沸かせたトライベッカ映画祭。9回目を迎えた本映画祭において特に異彩を放ったのは、スウェーデン産アニメ映画『メトロピア(原題:METROPIA)』だ。

本作の監督を手掛けたのはスウェーデン人映画監督タリク・サレー。父親がクレイアニメーターという環境に育ちながらも、ドキュメンタリー映画制作に進み、『サクリフィシオー誰がチェ・ゲバラを裏切ったか?』や、『ギトモー戦争の新しいルール』などの作品で世界的に成功を収めた。そして『メトロピア』は彼の長編アニメ映画初監督作品となる。

石油が枯渇してしまった西暦2024年、ヨーロッパの都市はメトロと呼ばれる会社の巨大な地下鉄網で結ばれている。ストックホルムに住む主人公ロジャーはその地下鉄に入る度に、頭の中で声を聞いたり、不快感を覚えるため地下鉄に乗る事を止めるが、ある日ひょんな事がきっかけで再び地下鉄に入る。そこでミステリアスなモデルのニーナと出会う。そこで彼は、自分自身の体が何者かによってコントロールされていることに気付く…。

地球上から石油が尽きてしまったことにより恐怖が世界を支配してしまうというアイデアは、グアンタナモ刑務所を舞台とした作品『ギトモ』の制作中からあったというサレー監督。2001年のアメリカ同時多発テロを発端に世界を暗雲が覆い尽くし、人々の心は不安や恐怖で一杯だった。サレー監督はグアンタナモというスキャンダラスな場所で感じた胸中を『メトロピア』に投影させた。

恐怖が人をコントロールするという普遍的な題材を扱い、スタンダードなストーリーテリングで展開する『メトロピア』。観終わった直後よりも時間が経つに連れじわじわと映画の余韻が膨らんでゆくのが本作の魅力だ。この物語を思い出し、知らないうちに何か巨大な会社の陰謀に巻き込まれてしまっているのではないか、とパラノイアを引き起こしてしまう人も少なくないはず。

現在3D映画が主流の中、その流れに逆らうかのように2Dで作られた本作は、そのユニークなビジュアルに注目が集まる。登場人物は細部までかなりリアルに作り込まれているが、何かがとても不自然で、錯覚を起こしているかのような感覚に陥ってしまうのだ。テリー・ギリアムやロイ・アンダーソンの作品に影響を受けたというサレー監督の描く世界は、まるで催眠術のように鑑賞者に働きかけるのだが、ストーリー自体は幻想的なSF作品というよりむしろフィルム・ノアール調で、まるでヒッチコック映画を彷彿とさせる。

昨年ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映された『メトロピア』。その後、様々な場所で上映を重ね、この春ニューヨークではトライベッカ映画祭で披露された。上映に際し、監督そして出演者による記者会見も行われ、華やかな映画祭の彩りが一層増した。ヴィンセント・ギャロ、ジュリエット・ルイス、ステラン・スカルスガルド、アレクサンダー・スカルスガルド、ウド・キア等、声優としては珍しい俳優達を集めた本作。「ユニークでかつ演技派の俳優達に出演してもらったのは、リアルな声の演技が必要だったため」とサレー監督は言う。

今回のトライベッカ映画祭では、ケーブルテレビを介してお茶の間に映画祭を届ける方式を採用した。『メトロピア』もお茶の間のラインナップの1つ。例えアメリカでの上映館が少なくとも、家で本作を鑑賞出来る(現在も視聴可能)という贅沢な試みだ。この不思議な余韻を引くこの特別な映画を是非一人でも多くの人に楽しんで欲しい。

(Text & Photo by Taiyo Okamoto)
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© Emi Ueyama

テレビドラマ『HEROES』(ヒーローズ)などで活躍中の俳優・監督の北村昭博。主演の話題作『ムカデ人間』(Human Centipede米題)が全米公開に先駆けて、ニューヨーク市のIFCシアターにて先行上映が行われた。

ドイツ旅行中道に迷った2人の米国人観光客を親切に迎え入れてくれた外科医の真の目的は、人間同士を結合させて人間ムカデを生み出すことだったー

一種猟奇的なホラー映画のこの作品。北村氏も舞台挨拶にニューヨーク市入りし、多忙な時間の合間にCOOLMagazineの独占取材に応えてくれた。

-『HEROES』(ヒーローズ)への出演が注目されるきっかけになったのでしょうか?

そうですね。自分では『ムカデ人間』への出演の方が大きかったのですが、日本のマスコミの注目度で言えば、『HEROES』(ヒーローズ)出演がやはり注目されました。ヤフージャパンのトップニュースにもなりましたし、2チャンネルのスレッドがたったりもしました(笑)。6年間インディペンデント映画制作をやってきましたが、俳優を始めてからの方が、金銭的にも内容的にも充実しています。

-『ムカデ人間』は、ゆうばりファンタスティック映画祭をはじめ、数々の映画祭で出品されるなど、注目されていますが

クエンティン・タランティーノ監督が観に来てくれたり、トム・クルーズがDVDを取り寄せて下さったり、ハリウッドでも旋風が起きかけています。

-役つくりのアイデアはどこから?

僕は高知出身で、『ムカデ人間』も高知弁で勝負しました。役つくりは、亀田兄弟のお父さんと、『ジョジョの奇妙な冒険』の主人公の話し方を取り入れたり、変な世界観の映画ですし、名優と誉れの高いドイツ人俳優のディエター・レイザーさんに食われないよう、とにかく味を出さないと埋もれちゃうなと。それでいろいろ試して演技しました。例えば、ディエターにはセリフを被せてはいけない、と前もって言われていたんですが、ワザと被せてみたり。結果的にそれは成功しました。
共演の女優達の根性には感服しますね。普通女優であの役はやらないでしょう。そういった意味で、賞賛されるべきだし尊敬するし、これからもっと活躍して欲しい。

-ハリウッドはオーディションで役を勝ち取らなくてはならないと聞きます

オーディションには同じアジア人俳優でも英語が母国語で、UCLAの演劇科なんかを卒業したエリート達とか、大きな映画に出ているやつらと素手で勝負しなくてはいけないので、たいへんです。渡辺謙さんとか、真田広之さんなど、日本で何10年もやっている名前のある方たちと横並びで評価されてしまう。ですが逆に5年後、10年後、見てろよ、と挑戦して行きたい気持ちも芽生えるものです。
ハリウッドにはぽっと出の俳優なんて誰も居ない。履歴を調べてみると、ちゃんとみな下積みをしている。僕だって自分の作品にも出ているし、5年間『ビバリーヒルズ・プレイハウス』という学校で演技を学んでいます。(ヒーローズ主役の)マシ・オカさんもCGのエンジニアで、経験も無いのに抜擢されたと誤解されていますが、テレビなど、結構いろいろと出演しています。演技に対する勉強も熱心で、セミナーに出たりもしている。彼は俳優としてすごくプロフェッショナルなのです。『HEROES』(ヒーローズ)はマシ・オカさんの友人役で出演したのですが、負けたくなかったし、食ってやろうと気合をいれたのですが、彼はリハーサルもやらないんです。それで僕はかえって緊張してしまって。脚本もぱらぱらと見るくらいで、圧倒されてしまいました。成功している人はやはりすごいです。


-日本での映画出演の可能性は?

米国に移住したのは、やはり世界で勝負する映画がやりたくて、ですが、誤解されている部分も多いですが、僕は『No.1だ、ハリウッドでしかやりたくないんだ』なんて思っていないんです。全く逆で、日本が大好きだし、日本の映画が好きだし、日本の才能もすごいと思っていますし、日本の映画に出たいといつも思っているんです。

-日本の映画出演は、ハリウッドなみのギャラは、なかなか難しい

そこなんです。僕が出ているから、確実に投資が回収できる、そんな存在にならなければと。米国で上映されるくらいじゃないと、いけないと思っています。監督にも僕にもみんなにも返ってくるくらいに。
『ムカデ人間』のトム・シックス監督も僕と同じような気持ちで、オランダでそこそこ人気の映像作家でしたが、マーケットとしてあまりにも狭い。世界配給で勝負するには全編英語で行きたいと思ったようで、そこで今回の映画は、英語を主体とした、日本語、ドイツ語アリの、マルチリンガルの作品に仕上がっています。監督は『2作目は、ハリウッド映画として勝負する(今作品はオランダ映画)』と意気込んでいるのですが、一緒にやろうと言っていただいていている、もう一生付いていきます、といつも言っているんです。

-監督と俳優の相思相愛関係は作品において大事ですね

いつも僕の一番いい表情をきちんと撮り押さえてくれている。それは監督の力量だし、相性も合うってことだし、出会えたことは本当に感謝しています。

-次回作について

撮影はもう始まっていまして、『Nipples &
PalmTrees』という作品で、主人公の友人役です。プレイボーイで、セックス中毒の役なんです。今回も日本人へのステレオタイプをぶち壊します。

-これからの目標

本当にやりたい事は世界に通用する日本映画を作りたいんですよ。それは役者ででも、監督ででもかまいません。これからもっと名前が売れてきたら、僕の名前でお客が呼べる。そんな存在になりたいし、なって日本で自主でやってる監督達を引っ張り上げることが出来れば、と思っているんですよ。日本で世界に通用する才能は日々生まれてきていると思うんです。それはこの前ゆうばり(ファンタスティック映画祭)に参加した時、そう思いました。米国に来てからは、(日本の映画とは)あまり接点がなかったのですが、素晴らしい監督、素晴らしい作品が一杯あった。日本の映画界は自主の層が厚い。30代・20代の監督達が多く居るし、日本映画が世界を席巻する日がもう一度来ます。

-その中で特に刺激された監督は?

今回『SRサイタマノラッパー』の入江悠監督とゆうばりで会って、すごく刺激されました。同い年ですし、世界に発進する事を意識した日本映画の作り手ではないでしょうか。次世代のホープで、間違いなく次に日本の映画界を背負う存在だと思います。実は『サイタマノラッパー3』に出演させてもらいたくて、『ラップ』の練習をしているんです(笑)

 
Photo © 2009 sixentertainment

http://www.imdb.com/title/tt1467304/

(文・写真:植山英美)

塚本晋也監督(ニューヨークにて)撮影:植山英美

映画『鉄男 THE BULLET MAN』は、ヴェチア映画祭へのコンペ部門正式出展、世界最大のファンタスティック映画祭であるシッチェス・カタロニア映画祭正式出展、LAのプラネット・グリーンアワード受賞など、世界的にも高く評価されている、塚本晋也監督作品。『鉄男 THE BULLET MAN』がトライベッカ映画祭に唯一の日本映画として参加。人気バンド、ナイン・インチ・ネイルズがエンディング・テーマを書き下ろしたこともあわせて発表、北米プレミアを華々しく行なった。

『鉄男』(89)から世界的にカルト的なファンを持つシーリーズ第3作目のこの作品は、全編英語の意欲作だ。17年前『鉄男2』発表後からクエンティン・タランティーノ氏をはじめ、たくさんのプロデューサーが『鉄男アメリカ』制作の名乗りを上げたが、結局タイミングや制作方針が合わずに断念。塚本監督は「これは僕なりのアメリカ映画。長年の思いが叶ってついに米国で公開できるのは、たいへんうれしい」と語った。

また塚本監督は「人間の心の中には善と悪があるもの。それを2人の主人公で表現した。日本はもう60年間戦争していない。戦争の記憶が風化していく中、何か都市に暴力が起こったら、今度こそ取り返しのつかない事態になるということを伝えたかった」という。「サイバーパンクの父のリドリー・スコット監督が、あの『ブレードランナー』を制作してから20年ー「『鉄男』は彼にオマージュを捧げています。『ブレードランナー』は物語の最後、主人公がアンドロイドと駆け落ちをするところで終わっていますので,二人が結婚して子供が生まれたらどうなるか、というコンセプトで『鉄男』は作られています」とも語っている。

「映画史に残る『鉄男』シリーズに名前を刻むことができて、とても光栄」と主演のエリック・ボシック氏。「今度の鉄男は、暴力を振るうべきか、相手を傷つけるべきかとても悩みます」激しい戦闘シーンは「毎日ジムに通って身体を作り、スピリチュアル・スポットに行ったりと、身体、精神とも時間をかけて準備した」そうだ。谷島正之プロデューサーは「報復の是非という9・11攻撃を受けたニューヨークと共通のテーマを持っているので、この地で上映する機会を得たのは格別の思い」と語った。

トライベッカ映画祭では大爆音での上映で、あまりにも音が大きすぎるため、スピーカーが壊れてしまうアクシデントも発生。17年間待ちわびたファンを熱狂させた。日本での公開は5月22日から。


©Tribeca Film Festival

公式サイト http://www.tetsuo-project.jp/

(文・写真=植山英美)


Exhibition 10 years NIPPON CONNECTION Design (c) Copyright 2010 Nippon Connection e.V.


ドイツ・フランクフルト・アム・マイン市で行われる世界最大の日本映画の祭典「ニッポンコネクション」が4月14日より、5日間に渡って開催されている。

第10回目を向かえるこの映画祭は、ニッポンシネマ、ニッポンレトロ、ニッポンデジタルの3部門で構成される他、ニッポンカルチャー部門として、ポップカルチャーなどの文化の紹介もある。またニッポンデジタル部門から選ばれた作品は、世界各都市で再上映される。

ニッポンシネマで上映される主な作品は「クローズZEROⅡ」(09)「南極料理人」(09)「カケラ」(09)「しんぼる」(09)「ディア・ドクター」(09)「ゼロの焦点」(09)など20作品。ニッポンレトロでは「Dolls」(02)「愛のむきだし」(08)など10作品。ニッポンデジタルでは「USB」(09)「ロストガール」(07)などの他、「SRサイタマノラッパー2~女子ラッパー傷だらけのライム~」(10)「はい、もしもし大塚薬局ですが」(09)などの「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の優秀作品、自主制作映画の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」での優秀作品も上映される。

(文=植山英美)

ホームページ
http://www.nipponconnection.com/nippon-2010/index-jap.html
海外でも、監督・俳優として高い評価を受けている渡辺一志。初監督作品「19」(01)では、トロント国際映画祭をはじめ、各国の映画祭に招待された。サラエボ国際映画祭では新人監督特別賞を受賞。同作品はヨーロッパ、アジア諸国で公開された。俳優としても、三池崇史監督「ビジターQ」などに出演。ベルリン国際映画祭に出品された奥秀太郎監督「カインの末裔」では主演の棟方を演じ、絶賛を浴びる。再び奥監督と組んだ主演作「USB」では、桃井かおり、大杉漣、大森南朋ら日本映画を代表する俳優たちと競演し、作品は第24回高崎映画祭、第10回ドイツ・ニッポンコネクションに上映。声優として主演を努めた「電信柱エレミの恋」は下北沢のトリウッドで4/24(土)から上映される。多方面に才能を発揮している渡辺一志監督は、「映画や音楽は国境を越えるもの、ボーダーレスだと思っている」と語ってくれた。



映画監督になった経緯をお聞かせください。

―高校生の時、映画好きの友人に誘われて、(クラブ活動の)映画研究部に入部しました。それまで映画をあまり観たことはなく、映画を観るより先に映画制作を始めた事になります。部員も少なかったので入部当初から主力メンバーとして映画作りに参加する事ができました。大学生に進学してからは、アルバイトをしたり学生生活を送っていたのですが、やはり映画が撮りたくなり「19」の8ミリフィルム版を製作し、ぴあフィルムフェスティバルで準グランプリを受賞しました。その脚本をさらにブラッシュアップしたものを当時邦画の製作をやっていたギャガ・コミュニケーションズのプロデューサーが気に入ってくれて35mm版「19」の制作費を出してくました。

初監督作品「19」では出演もされましたね。

―最初に予定していた俳優に断られ、その代役としてプロデューサーと話しあって出演を決めました。演技の経験はなく、自信もなかったのですが「あの役は自分自身を投影しているからできるはず」と押され、素人ですが演技をしました。

「19」の次に出演されたのが、三池崇史監督の「ビジターQ」となります。

―トロント映画祭で互いの作品が上映された縁でした。三池監督は上映された「19」を観て気に入っていただいたようで、映画祭の後少し経って「ビジターQ」への出演を依頼されました。「ビジターQ」は海外でも人気がある作品で、ドイツや北米、アジアなどに出かけると、必ず誰かに声を掛けられ、人気の高さを肌で感じています。

三池作品など、出演作も大きな注目を浴びました。

―三池監督に依頼されたのは名誉なことだったし、貴重な体験になりました。ですが自分を俳優と思ったことはないし、積極的に活動している訳ではありません。それでも監督たちから声がかかり、作品には恵まれてきたことは幸運に思っています。奥秀太郎監督の「カインの末裔」はベルリン映画祭に招待されたし、最近声優として参加した「電信柱エレミの恋」は、「第64回毎日映画コンクールアニメーション部門 大藤信郎賞」を受賞しました。

「USB」がドイツニッポンコネクションに出品されます。「カインの末裔」につづき、これで2作続けて主演作品がドイツで上映されます、海外でも評価されることは、どのような気持ちですか。

―基本的に映画や音楽は国境を越えるもの、ボーダーレスだと思っているので、映画を作るうえで特に海外での評価を意識したことはありません。映画と一緒にいろいろな国の映画祭に行きました。地球の反対側のアルゼンチンから、まだ内戦をしているサラエボ、パリ、ドイツ、香港、台湾、スウェーデン、カナダ、シンガポール...などなど。それ以上にたくさんの国で自分の映画が上映していることは、とてもうれしいです。ドイツは最初の映画「19」がドイツで公開されたときにキャンペーンで初めて行きました。電車を乗り継いで、ドレスデンからハンブルグまで、いろいろな映画館を回りました。「カインの末裔」ではベルリン映画祭にも参加しました。ニッポンコネクションも2006年に「ネイティブアメリカン風の男を追え!」で上映してもらっています。ので、今回の「USB」の上映を含め、特にドイツは思い入れの深い国です。

最新主演作「USB」では個性的な俳優陣と共演されましたね。

―桃井かおりさんとの共演は楽しかったし、演技がしやすかったです。彼女のルーツには70年代のアンダーグランド・カルチャーがある。「USB」では原点(インディペンデント)に回帰したものだったんじゃないですかね。大杉蓮さん、野田秀樹さん、大森南朋さんも、とても個性の強い俳優陣なので、毎日がとても刺激的で楽しかったです。峯田和伸さんはミュージシャンですがとても真摯に演技に取組まれていて、かつスクリーンでの存在感も抜群でした。

俳優であることと、監督であることの折り合いはどうつけていますか。

―俳優として出演するときには、すべて監督に任せるようにしています。監督は映画の全てをコントロールしますが、俳優は演技というパートを担当するので、折り合いをつける必要はなく、どちらも楽しんでやっています。

(インタビュー・写真=植山英美)
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渡辺一志 1976年生まれ。愛知県出身。2000年「19」(ギャガ・コミュニケーションズ製作・配給)で脚本・監督・出演。トロント国際映画祭をはじめ、各国の映画祭で高い評価を得た。サラエボ国際映画祭では新人監督特別賞を受賞。ヨーロッパアジア諸国で公開された。その他の監督(脚本共)作品「スペースポリス~ネイティブアメリカン風の男を追え!~」(04)「キャプテントキオ」(07)俳優では、三池崇史監督作品「ビジターQ」(01)ベルリン国際映画祭に出品された奥秀太郎監督作品「カインの末裔」(07主演)を初め、「日本の裸族」(03)「カミナリ走ル夏」(03)「探偵事務所5」(06)「ハブと拳骨」(06)「USB」(09 主演)「電信柱エレミの恋」(09 主演)など。

  
                    ©M6 TRANCE PICTURE WORKS

映画『USB』(2009年/日本)

監督:奥秀太郎
出演:渡辺一志、桃井かおり、峯田和伸、大森南朋、小野まりえ、大杉漣、野田秀樹

茨城県筑波。数年前に原子力発電所の臨界事故があり、じわりじわりと放射能汚染が進む町。医学部を受験しながらも、すでに五年目の浪人生活に入っている祐一郎(渡辺一志)は、26歳のいまも実家暮らしの身だ。しかし祐一郎は、うだつのあがらないうちにギャンブルによる借金がかさみ、ヤクザの大橋組に返済を迫られるあまり、ドラッグの売買に手を染めてしまう。祐一郎のいとこである医師・信一(大森南朋)が勤める病院の放射線科で、多額の報酬が支払われる極秘のアルバイトが存在することを教えられ、借金返済を目的に、放射能を大量に浴びる危険な臨床試験に挑むことになるが……

高崎映画祭は4月6日上映(2010年3/27(土)~4/11(日)まで)
ドイツ・ニッポンコネクションは 4月16日上映(2010年4月14日から18日まで、フランクフルト・アム・マイン市で開催)

『USB』公式サイト
http://www.usb-movie.com/
言語
English / 日本語
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