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『COOL』は、世界で活躍するアーティストやニューヨークで注目のアートシーンなどを紹介していくアートマガジンです。創造するということ、かっこいいものを見ること、そこから感じる何かを世界中で共感できたらおもしろい!文化が違うとこんな違ったかっこよさもあるんだ!そんな発見・感動をしてもらえるボーダレスなアートマガジンを目指しています。現在、全米各地やカナダ、フランス、日本、中国などで発売中。誌面ではなかなか伝えられないタイムリーな情報や、バックナンバーに掲載されたインタビューなどをこのブログで公開していきます。
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長く続く通路の両側に吊るされた美しく幻想的な写真の数々。通路脇には小石が敷き詰められ、薄暗い会場内には温かな光の筋が差し込んでいる。入り口をくぐった瞬間に別世界に来たかのような雰囲気に呑み込まれてしまうこの一風変わった展覧会は、カナダ生まれの写真家グレゴリー・コルバート(Gregory Colbert)氏による写真展「ashes and snow」だ。スポットライトに照らされた100点以上もの写真と、巨大スクリーンに映し出されるフィルム映像が、野生動物と人間の触れ合いと美しい調和を見事に捉えている。

コルバート氏は14年間以上の年月をかけ、エチオピアやケニアなど30カ国以上の国々を放浪しながら写真と映像を撮り続けた。彼は人間と動物が密接に共存する国々をまわり、静かに、しかし力強く情熱的に流れる時間を数多く記録している。目を疑うほど幻想的で叙情的な彼の作品は、実はどれも一切加工を施されていない。すべて彼がレンズを通して実際に見てきた現実の世界なのだ。またこれらの写真は通常の印画紙ではなく、全て日本の徳島県の紙工場で作られる「阿波手漉和紙」と呼ばれる大きな和紙にプリントされている。


今回この写真展のために用意された「ノマディック(放浪)・ミュージアム」とも呼ばれるこの不思議な建造物は、紙を活用した建築で世界的に名を知られる日本人建築家、坂茂氏によって設計されたものだ。サンタモニカのピアー(埠頭)に突如として現れたこの巨大ミュージアムは、リサイクル可能な貨物コンテイナーや紙パイプなどで構成され、この「ashes and snow」と共に長い年月をかけて、文字通り世界を“放浪”する。ゴールド色の巨大な柱がそびえ立つ入り口から眺めると、その迫力にはただ圧倒されるばかりだ。


コルバート氏は、人間と動物がかつて共有していたハーモニーの再発見を求めていると語る。文明と社会の喧騒から逃れ、彼の作品と、まるで時が止まったかのような静かな空間で自然や動物と対峙することで、忘れかけていた大切な何かを見つめ直す。彼の作品にはそんな彼の想いがはっきりと映し出されている。

「ashes and snow」は2002年にイタリアを出発。その後、2005年にニューヨークのハドソン川に水上ミュージアムとして登場し、カリフォルニア州のサンタモニカを経て、2007年3月にはいよいよ東京・お台場に上陸する。



text, photo by Yuka KAWAGUCHI
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