『COOL』は、世界で活躍するアーティストやニューヨークで注目のアートシーンなどを紹介していくアートマガジンです。創造するということ、かっこいいものを見ること、そこから感じる何かを世界中で共感できたらおもしろい!文化が違うとこんな違ったかっこよさもあるんだ!そんな発見・感動をしてもらえるボーダレスなアートマガジンを目指しています。現在、全米各地やカナダ、フランス、日本、中国などで発売中。誌面ではなかなか伝えられないタイムリーな情報や、バックナンバーに掲載されたインタビューなどをこのブログで公開していきます。
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ロンドン・レインダンス映画祭(正式出品)ストックホルム映画祭(正式出品)パリ・キノタヨ映画祭(最優秀映像賞受賞)など数々の映画祭で高い評価を受けている、安藤モモ子監督初監督作品『カケラ』が、4月3日から渋谷ユーロスペース、ロンドンICAで同時上映、その後全国順次上映される。ロンドンでのプレミア上映、外国特派員協会での上映も行われ、国際的に注目されている安藤監督は「自分なりに一生涯大切に出来る作品にしたかった」と語った。
印象的なセリフが多いですね。脚本はご自分でお書きになったそうですが、作品のアイデアはどこからくるのでしょうか?
―原作は桜沢エリカさんの短編漫画『LOVE VIBES』で、映画にするには(登場人物の)バックグランドが描かれていなかったなど、十分な長さではなかったのですが、逆にその分オリジナリティが出せるのではないかと思いました。「女の子は柔らかいから好き」など、綺麗な言葉で、女の子が共感するような素敵なセリフがいくつかあったので、オリジナルに近いまま、引用させていただいきました。
ヨーロッパで特に高い評価を受けていますがー
―青春時代の8年間をヨーロッパで過ごしたので、その感覚が自然と滲み出ているのではないかなと。ヨーロッパの国々の人達はそれを感じ取って、素直に受け止めてくれているのでは、と思っています。
初めから映画監督を目指していたわけではなかった?
―10歳の時に父親に将来の希望を聞かれた時、意味も分からず、芸術家になりたいと言っていました。その時芸術家という言葉が指す意味は、絵を書く人という認識しかなかったのですが。その気持ちを持ち続けたまま、ロンドンの大学で美術の専攻に進みました。
その後どのようなきっかけで映画の道へ進んだのですか?
―18歳の時に父親(俳優、映画監督の奥田 瑛二)の初映画監督作品『少女~AN ADOLESCENT』の現場に参加し、そこで皆命がけで映画を撮っている場面に遭遇しました。その時「こんなに全てを捧げるような物作りのやり方は、今まで見たことがない」と衝撃を受けました。特に自主映画の現場はすさまじいものがあり、とても怖いと感じましたが「ここで逃げ出したら、一生映画と名の付くものから逃げなくてはいけなくなる」と覚悟を決めました。その作品と共に世界の映画祭を周り「映画というのは世界共通言語で、(制作費が)1千万の映画も、10億、100億かかっている映画も、同じレッドカーペットの上を歩けるという、映画でなければありえない、素晴らしい瞬間に立ち会う事が出来ました。
映画人として父親の影響は大きかったのでしょうか?
―貴重な体験をさせてもらったという意味では感謝しています。生まれたときから映画界という存在が、身近に在り過ぎたので、実は他をあまり知らない。その意味では(映画監督という道を選んだのは)自然な成り行きだったのではないかと思います。
キャスティングについてー
―キャンスティングは、ハルとリコという二人のキャラクターが合わないとだめだったので、ハル役でいい子が来たなと思っても、リコ役の子と合わなかったりなど、試行錯誤を繰り返しました。そこで、実際に近い性格の役や、役者自身が得意とする役とは逆の役をはめ込む、逆キャスティングという方法を試してみる事にしました。ちょうど『愛のむきだし』の撮影を終えた満島ひかりさんは、自己主張の出来ないおとなしい女の子の役をやった事がなかったので、ハルに。中村映里子さんは本当はおっとりした性格なので、強いキャラクターのリコをやってもらいました。
かたせ梨乃さんが印象的ですがー
―かたせさんは本当に素敵な方。極道の女のような役が多いですが、違う彼女を是非見せたいと思いました。演じた「とうこ」という役は、同性愛で、ガンで乳房を失っていて、その失った胸を作ってくれたリコに恋をしている。行き場の無い欠落したものを持っている、難しいキャラクターを、体当たりで表現していただいた。
『カケラ』鑑賞のポイントは?
―女の子二人の恋愛を描く以前に、人としてのアイデンティティをどこに持つかが、青春において大事なこと。「恋ってなんだ愛ってなんだ、そして自分は誰なんだ」という気持ちを描いています。自分の心の隙間を埋める「カケラ」がどこにあるのか、ということを、まず意識することから始めてみたかった。「カケラ」というのは一生埋まらないものであると思う。死ぬ時に 埋まった、と思って死ぬか、埋まらなかった と思って、自縛霊になるか、そいうものだと私は思っています。やっぱり人は欲もあるから、何かを探して生きているのだと思うので、(そう言った意味も含めて)「カケラ」という題にしています。
28歳になったばかりですが、20代だけが持つ事が出来る感性が、映画に反映されていると思いますか?
―とてもあります。初監督というのは最初で最後だし、次からはもう経験をしてしまった後のことになりますよね。初体験というのは、もう二度と訪れない。そこで何が出来るかを必死に探りました。自分の年齢がまだ20代で、役者達も20代。今の自分で表現できる全てのものをぶつけ、出し切る。自分なりに一生涯大切に出来る作品にしたかった。
(インタビュー・写真=植山英美)
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安藤モモ子 1982年生まれ、東京都出身。ロンドン大学芸術学部を次席で卒業。帰国後の2001年、父である奥田瑛二監督作品『少女』で美術、制作進行アシスタントとして修行ののち、同監督のスタッフとして数々の現場を経験。06年には行定勲監督の助監督を務めた。初監督作品となった『カケラ』では、ロンドン・レインダンス映画祭、ストックホルム映画祭などに正式出品。4月3日からユーロスペース他にて全国順次公開予定。
安藤モモ子第一回監督作品『カケラ』
監督:安藤モモ子
出演:満島ひかり、中村映里子、永岡佑、光石研、根岸李衣、志茂田景樹、津川雅彦、かたせ梨乃
©2009ゼロ・ピクチュアズ
なんとなく毎日を過ごしている女子大生のハルは、事故や病気で身体一部を失った人たちの精巧なパーツを作る「メディカルアーティスト」のリコと出会う。「ほんとうに女の子がすきなの」「男も女もヒトでしょ、男だ、女だと思うから苦しくなるの」近づいては遠のき、揺れ動くハルとリコの関係。心の隙間を埋めてくれる「カケラ」とはいったい何か?
『カケラ』公式サイト
http://love-kakera.jp/index.html
印象的なセリフが多いですね。脚本はご自分でお書きになったそうですが、作品のアイデアはどこからくるのでしょうか?
―原作は桜沢エリカさんの短編漫画『LOVE VIBES』で、映画にするには(登場人物の)バックグランドが描かれていなかったなど、十分な長さではなかったのですが、逆にその分オリジナリティが出せるのではないかと思いました。「女の子は柔らかいから好き」など、綺麗な言葉で、女の子が共感するような素敵なセリフがいくつかあったので、オリジナルに近いまま、引用させていただいきました。
ヨーロッパで特に高い評価を受けていますがー
―青春時代の8年間をヨーロッパで過ごしたので、その感覚が自然と滲み出ているのではないかなと。ヨーロッパの国々の人達はそれを感じ取って、素直に受け止めてくれているのでは、と思っています。
初めから映画監督を目指していたわけではなかった?
―10歳の時に父親に将来の希望を聞かれた時、意味も分からず、芸術家になりたいと言っていました。その時芸術家という言葉が指す意味は、絵を書く人という認識しかなかったのですが。その気持ちを持ち続けたまま、ロンドンの大学で美術の専攻に進みました。
その後どのようなきっかけで映画の道へ進んだのですか?
―18歳の時に父親(俳優、映画監督の奥田 瑛二)の初映画監督作品『少女~AN ADOLESCENT』の現場に参加し、そこで皆命がけで映画を撮っている場面に遭遇しました。その時「こんなに全てを捧げるような物作りのやり方は、今まで見たことがない」と衝撃を受けました。特に自主映画の現場はすさまじいものがあり、とても怖いと感じましたが「ここで逃げ出したら、一生映画と名の付くものから逃げなくてはいけなくなる」と覚悟を決めました。その作品と共に世界の映画祭を周り「映画というのは世界共通言語で、(制作費が)1千万の映画も、10億、100億かかっている映画も、同じレッドカーペットの上を歩けるという、映画でなければありえない、素晴らしい瞬間に立ち会う事が出来ました。
映画人として父親の影響は大きかったのでしょうか?
―貴重な体験をさせてもらったという意味では感謝しています。生まれたときから映画界という存在が、身近に在り過ぎたので、実は他をあまり知らない。その意味では(映画監督という道を選んだのは)自然な成り行きだったのではないかと思います。
キャスティングについてー
―キャンスティングは、ハルとリコという二人のキャラクターが合わないとだめだったので、ハル役でいい子が来たなと思っても、リコ役の子と合わなかったりなど、試行錯誤を繰り返しました。そこで、実際に近い性格の役や、役者自身が得意とする役とは逆の役をはめ込む、逆キャスティングという方法を試してみる事にしました。ちょうど『愛のむきだし』の撮影を終えた満島ひかりさんは、自己主張の出来ないおとなしい女の子の役をやった事がなかったので、ハルに。中村映里子さんは本当はおっとりした性格なので、強いキャラクターのリコをやってもらいました。
かたせ梨乃さんが印象的ですがー
―かたせさんは本当に素敵な方。極道の女のような役が多いですが、違う彼女を是非見せたいと思いました。演じた「とうこ」という役は、同性愛で、ガンで乳房を失っていて、その失った胸を作ってくれたリコに恋をしている。行き場の無い欠落したものを持っている、難しいキャラクターを、体当たりで表現していただいた。
『カケラ』鑑賞のポイントは?
―女の子二人の恋愛を描く以前に、人としてのアイデンティティをどこに持つかが、青春において大事なこと。「恋ってなんだ愛ってなんだ、そして自分は誰なんだ」という気持ちを描いています。自分の心の隙間を埋める「カケラ」がどこにあるのか、ということを、まず意識することから始めてみたかった。「カケラ」というのは一生埋まらないものであると思う。死ぬ時に 埋まった、と思って死ぬか、埋まらなかった と思って、自縛霊になるか、そいうものだと私は思っています。やっぱり人は欲もあるから、何かを探して生きているのだと思うので、(そう言った意味も含めて)「カケラ」という題にしています。
28歳になったばかりですが、20代だけが持つ事が出来る感性が、映画に反映されていると思いますか?
―とてもあります。初監督というのは最初で最後だし、次からはもう経験をしてしまった後のことになりますよね。初体験というのは、もう二度と訪れない。そこで何が出来るかを必死に探りました。自分の年齢がまだ20代で、役者達も20代。今の自分で表現できる全てのものをぶつけ、出し切る。自分なりに一生涯大切に出来る作品にしたかった。
(インタビュー・写真=植山英美)
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安藤モモ子 1982年生まれ、東京都出身。ロンドン大学芸術学部を次席で卒業。帰国後の2001年、父である奥田瑛二監督作品『少女』で美術、制作進行アシスタントとして修行ののち、同監督のスタッフとして数々の現場を経験。06年には行定勲監督の助監督を務めた。初監督作品となった『カケラ』では、ロンドン・レインダンス映画祭、ストックホルム映画祭などに正式出品。4月3日からユーロスペース他にて全国順次公開予定。
安藤モモ子第一回監督作品『カケラ』
監督:安藤モモ子
出演:満島ひかり、中村映里子、永岡佑、光石研、根岸李衣、志茂田景樹、津川雅彦、かたせ梨乃
©2009ゼロ・ピクチュアズ
なんとなく毎日を過ごしている女子大生のハルは、事故や病気で身体一部を失った人たちの精巧なパーツを作る「メディカルアーティスト」のリコと出会う。「ほんとうに女の子がすきなの」「男も女もヒトでしょ、男だ、女だと思うから苦しくなるの」近づいては遠のき、揺れ動くハルとリコの関係。心の隙間を埋めてくれる「カケラ」とはいったい何か?
『カケラ』公式サイト
http://love-kakera.jp/index.html
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